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最高裁判所第一小法廷 昭和46年(行ツ)30号 判決

京都市東山区山科安朱馬場東町四五番地

上告人

松岡夘三郎

大阪市東区大手前之町一番地

被上告人

大阪国税局長

丸山英人

右当事者間の大阪高等裁判所昭和四五年(行コ)第一六号国税徴収令状一部取消請求事件について、同裁判所が昭和四六年一月二八日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の昭和四六年二月一五日付上告と題する書面、同月二〇日付書面および同年四月二二日付上告と題する書面記載の各上告理由について。

原判決が、東山税務署長のした再更正処分および加算税賦課処分の取消を求める上告人の訴を不適法として却下した第一審判決を正当として控訴を棄却すべきものとし、また園部税務署長のした決定処分および加算税賦課処分の取消を求める上告人の原審における新訴を不適法として却下すべきものとした判断は、原判決の適法に確定した事実および判示関係規定に照らせば、首肯することができる。

所論は、原判示にそわない事実をあげて原判決に対する不服をいうものにすぎず、すべて、採用することはできない。

よつて行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岸盛一 裁判官 大隅健一郎 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三)

(昭和四六年(行ツ)第三〇号 上告人 松岡夘三郎)

上告人の昭和四六年二月一五日付上告と題する書面記載の上告理由

一、本件に関し昭和四三(行ウ)第八〇七号

本件に対する大阪地方裁判所井上三郎裁判長の示した判決は被告、国税局長を一方的に贔負したる片手落極まる判決云渡しであつたので上告人は全面に非認なし控訴したものである。

二、上告人は京都弁護士会及税務所に於て研究の結果不動産其の他物件を買収し同物を他に転売したる場合、原価を差引残る利益に対し課税するのであつて原価を加算したる金額に対する課税は不法行為で法律的に許されて居ない万一国税が不法行為を使行したる事が表面的に出れば大問題であるとの説明であつた並に原価を加算した徴収は許すべからざる違法行為であるとの説明を承つた次第である。

三、大阪地裁井上裁判長は原告松岡夘三郎が弁護士に依頼せず同人が出廷するので何を云ふも抵抗力なしと侮つて正当の理由を無視して原告の請求を棄却するとの判決をなされたのである京都弁護士会の曰く東京地裁は如斯き法を無視した判決はしないが其の他の府県の裁判所では如斯判決は時々あるを聞くとの説であつた上告人は正当なる理由があれば弁護士は雇う必要なきものと思うのである。

四、収支差引き支出超過したる取引については当然納税の義務なき物と確信します上告人は日本セメントに対し前に上告した通り西はなより高槻市原町鬼ケ谷一一二八ノ八及一一二八ノ一二番地の二筆を八、三〇七、八〇八円にて買受け日本セメントKKに対し山林入山に要する道路及鉄筋コンクリート造り架橋防波堤工事一切を上告人負担の契約を以て一六、〇〇〇、〇〇〇円にて譲渡した昭和三五年七月二九日に1/2の八五〇万円を受領した此の八五〇万円の使途は一号証の裏に付着してあるから御覧下さい御判りになります残金七五〇万円は昭和四〇年一月十八日迄五三ケ月間遅払を食つた四〇年一月十八日に七五〇万円受領した此の金の用途は一号の裏に付着してありますから御覧下されば御判りになります四〇年度分とあるは四〇年一月十八日の受入金の事であります、此の四四四、一六九円とあるは何を意味した課税なる裁判談に苦しみますと差引利益は五二六、一五二円であります所得金額五二六、一五二円に対す税率は五二六、〇〇〇迄は六八、二〇〇円でありますから訂正を請求するのであります上告人は筋の通らない無理は断じて申告しません上告人は納税を滞納した覚はありません国税局が不当なる筋の通らない無法なる課税を申しつけるから是が明白となる迄納税を中止して黒白を糺ふのであります国税局が国内一般に通用する課税を要求するなれば其の当時一切解決済となつて居ます。

五、全々他人の家事使用人の財産及銀行預金を差押して差上げた事は不法行為で断じて許せない不法行為であります松岡夘三郎の第二次納税義務者と久門恵美当年九二才の老婆を苦しめ大病人の医薬料迄強引に没収し事は暴力行為である我日本国の税務所は殺人行為の常習者と云ふも過言ではない現に亀岡市内で園部税務所の不法な課税の為めに自殺した人がある税務所は不知とは云へない国税局は我の都合のよい勝手な事を申立て確定した と云ふが一つとして筋の通つ事を云つた例がない我の都合のよい事を云つて庶民の云ふ事は聞入れない事にして居る悪癖があるので民衆は大変困つて居る。

六、大阪地裁裁判長井上三郎氏は国税局が山林売買につき原価を加算した重税を認めた事は重大問題であると原告は確信せざるを得ない裁判官たる人が物件を買受けて転売に当り原価を加算した重税を認めると云ふ事は違法であると京都各税務所は明言した是は老人又老婆を差別扱いした証拠である、法律は全国一律であると推定する大阪地裁は公正を欠いて居るものである又国税局は原告松岡夘三郎に課せられた税金滞納につき松岡家の家事使用人久門恵美九二才の老婆を以て第二次納税義務者と定め老の家屋敷及医薬料として親類から恵んでくれた虎の子とする貯金を差押へ巻き上持ち帰るが如き行為は悪政と称すも過言ではない。

七、国税局は原告を滞納者と称するが原告は筋の通つた課税は納税するが不法徴収の解決する迄は納税仕兼ねる其の為めに訴訟するのである又国税局協議団村田税務官も原告に対し本件について訴訟するがよかろうとの御言に依り京都弁護士会員猪野愈弁護士に頼み訴状を作製して貰つたのである。

訴状控訴の趣旨

国税局発令の最終催告書三九年度分は三五年七月二十九日日本セメントKKとの山林売買に対し前記二筆を以て一、六〇〇万円にて売り同日1/2の八五〇万円受領した此の金の用途は前記の通り支出超過となり納税の義務なしとなつたので徴収令状取消を請求した、四〇年度とあるは四〇年一月十八日に日本セメントKKより残金七五〇万円を受領した此の金の用途は前記の通り差引、五二六、一五二円となり此の五二六、一五二円が売買に対する利益であるから徴収額の訂正を請求したのである国税局は前後を弁へず只無申告 と云ふが原告は三五年三月十五日園部税務所に対し申告は完全にしてあるから無申告に依る加税は違法である期間内に申告したならこそ税金の配付をしたではないか。

以上の通りであるから

(一) 三九年度の徴収令状取消し

(二) 四〇年度の徴収額利益五二六、一五二円に対する税額に訂正すべしとの判決を求む。

以上

上告人の昭和四六年二月二〇日付書面記載の上告理由

一、昭和四六年二月十七日到着した判決に対し余りにも法を無視した判決に依り裁判長裁判官宮川種一郎氏に対し不適法なる判決であるので控訴人の意見を上告する。

二、控訴人は大阪国税局より園部税務所並に京都東山税務所より税務一切を大阪国税局が引次を受けたので今後は大阪国税局に於て税務一切を取扱ふとの通知を受けたので控訴人は国税局を相手方として今日迄争つて来た今新園部税務所又は東山税務所云々の御話は承る必要なし控訴人は其の事頼まない。

三、控訴人は税徴収法は不知であつて只常識を主として争ふものである京都市内弁護士会及二、三の税務所に於て研究の結果商売して売上金より原価及諸経費を差引きたる純利益に対する税金が正当である原価に対する税額徴収は不適当並不法行為であるとの説明を承つた日本セメントKK対控訴人の間の金銭受取及内容は国税局税務官大喜多通男氏が詳しく調べ御承知の事と推察する。

四、大阪国税局に限り原価を収得税に加算して徴収する規則及法律があるのか明示願いたい京都市内の税務所では如斯規則も法律もないとの事である控訴人は筋の通らない事は申しません日本セメント対控訴人の間に於て右山林売買につき一、六〇〇万円の契約で三五年七月二十九日1/2の八五〇万円受領した此の金の用途は何も準備書面に申告済である此の八五〇万円に対する収支計算して三五二、八〇八円支出超過となつたので納税の義務なしとなつた日本セメントより残金七五〇万円三五年八月三〇日に支払う契約であつた処が日本セメントKKは四〇年一月十八日迄五三ケ月間遅払を食つた此の間の利子一日三、〇〇〇円一五九〇日間四、七七〇、〇〇〇円の損害を蒙つた此の損害金は云はない事としたが内容は大変苦しき立場にある。

五、日本セメントより四〇年一月十八日に七五〇万円受領した金の用途は今日迄に数回報告したので省略しますが収支差引五二六、一五二円の利益となつた此の利益に対する課税が正当である控訴人が税務所で調べた処五二九、〇〇〇円迄の税率は六八、二〇〇円である控訴人は国税局より電話をを差押へられ競売に合ふた此競落金八万〇二〇〇円と銀行預金の残三〇、四〇〇円合計一一〇、六〇〇円を大喜多税務官が持ち帰つたので差引四二、四〇〇円(ツリ)を返すのが正当であるにも不拘全く他人にして家事使用人一奉公人が同居するからと云つて控訴人松岡夘三郎の第二次納税義務者と認定するは横暴も甚しき行為である国税局は無申告 と云ふが控訴人は三六年三月に園部税務所へ完全に申告したにつき税金を命じたではないか申告を何回すればよいのか明示下さい申告は一回すればよいものと控訴人は推定する国税局が良く調べて正当なる行為を施行して居れば如斯き問題は起らないで円満に解決して居るのである本件に対する訴訟費用は当然被控訴人が負担すべきである人間は正義を尊重し常識を旨として世渡りすれば複雑な問題は絶対起らない老人老婆と侮どつて差別するから如斯問題が起こるのである控訴人は小作人が一坪当り二円三〇銭で買受けた土地を坪当り一〇万円内外にて転売し圧縮契約で二万円程度で売り大金を儲けて居る事を通報した事があるが何故か取上げない税務所の役が是で済むのか判断に苦しむ。

右の次第であるから国税局と良く御協議の上公正なる判決を求む。

以上

上告人の昭和四六年四月二二日付上告と題する書面記載の上告理由

一、上告人は明治二三年十一月十五日生当年八二才の老衰であり憲法の如き六ツケ敷き事は存じません只事実を説明いたします。

二、右税金徴収については昭和三五年七月二九日に高槻市新京町三〇西はなより同市原町鬼ケ谷一一二八ノ八番地及一一二八ノ一二番地山林二町八反一畝二一歩を

1 八、三〇七、八〇八円 山代金

2 五一〇、〇〇〇円 売買仲介手数料として高槻原町南良太郎に支払つた

3 三五、〇〇〇円 所有権移転登記費用として同市長谷川代書人へ合計八、八五二、八〇八円支払つた

右の山林を日本セメント株式会社に対し同年八月十日に一七、〇〇〇、〇〇〇円にて売却して同日1/2の八、五〇〇、〇〇〇円を受領した。

第一回の取引では三五二、八〇八円支出超過となつたので国税局が出した徴収令状三九年度分と云ふ課税は取消しを請求するものである。

右物件買売については三六年三月一日に園部税務署に対し詳しく申告した係り税務官高野正和氏は良く御承知の筈である其後控訴人の友人にて西原靖夫と云ふ元税務官と高野税務とが友人の間柄であつたので三五年七月二九日の取引については前記収支差引三五二、八〇八円、支出超過したので西原を通じて納税免除してくれる様高野氏に要請した処が高野税務官は仲人西原に対しサービスを要請して大津市石山藤野料亭及山科奴茶屋と各所で上告から金を出さしめ至る所で豪遊した上句高野税務官は西原に対し八万円の金を上告人松岡より出させよと強要すると同時に又一万円京都にて遊興費として取つた然るに、西原は右九万円松岡上告人より取り乍高野税務官に与えず着腹した事が暴露したので上告人は西原を大津警察署へ告訴した事実あり高野税務官は収支差引支出が三五二、八〇八円超過したので西原を通じて高野税務官に三九年度分とある課税を免除し一部取消しを申請したのである其の後上告人松岡は京都市東山区山科へ移転したので園部税務所は右税金関係を京都市東山税務所へ移送した東山税務所長大裏所長は是を受入れた東山税務所は右税金関係を大阪国税局へ移送した大阪国税局は是を受入れた其の後は大阪国税局対上告人松岡と直接となつた。

五、上告人は其の後京都市七ケ所の税務所にて収支差引〇となつた上三五二、八〇八円の支出超過した取引に対し原価ぐるみの金に対し納税を命令する法律があるのかと質問したに各税務所は支出超過した取引に対しては課税しない又其の様な税法は有得ないとの回答を受けた又京都市弁護士会にて研究した処物件を売買した利益に対する課税は当然であるが収支差引決損した取引に対し税金を徴収する事は出来ないとの説明を聞いた該税金は園部税務所高野税務官に対しサービスが少けなかつたので利益〇取引に対し無理な押付課税を命じたのである、是を前後を良く調査せずして東山税務所及大阪国税局は只々取りさへすれば手柄として無法な徴収令状を押しつけたものである。

六、最終納付催告書昭和四三年七月二三日付け四〇年度分四四四、一六九円とあるは昭和四〇年一月一八日日本セメント株式会社より実収七、五〇〇、〇〇〇円受領した此の金の使途左に

七、右山林売買契約書に其く現山林入山に要する道路新設及架橋工事一切は売主上告人松岡の負担とする義務あり故に此の設備費次の通り

一 三、五八九、〇四〇円 橋及道路工事費

二 三五二、八〇八円 第一期分取引について支出超過金

三 一、五三六、〇〇〇円 山林購入の為め資本金融資借入れ金利

四 一、五〇〇、〇〇〇円 右山林買収に対する元の所有人西はなに対し売山承諾させる為め四〇ケ月亀岡より通つた費用

合計六、九七三、八四八円支出した。

差引算 五二六、一五二也が利益となつた。

此の利益に対する課税が正当である。

右五二六、一五二円に対する税額は六八、二〇〇円である上告人が課税一部訂正を請求する理由は是を申立るものである、是も京都税務所で研究の決果判明したものである。

八、上告人は該山林を買収して転売し少なく共三〇〇万円儲ける予算で売買した処が日本セメントKKが残金八五〇万円の支払いを四年五ケ月遅払いしたので国税局の言ふ日歩四銭の利子として計一五六〇日間で五、四三〇、〇〇〇円の損害を蒙つた此の事は国税局は再三再四日本セメントKKへ出張して良く承知の筈である。

九、前記の六八、二〇〇円納税すれば本件に対する税金は一切解消するものである然るに上告人は電話を差押へ食い八〇、二〇〇円と銀行預金三四、〇〇〇円計一一四、二〇〇円取られたので四六、〇〇〇円(つり)を貰う資格がある。

最終納付催告書四三年七月二三日付三九年度分一、五五九、三四〇円加算税一八九、七五〇円延滞税一、三三二、三九〇円滞納処分一一〇円計三、二八一、五九〇円は前記の理由にて納税の義務なし四〇年度分と称する四四四、一六九円と記載あるは何を原理として課税されし哉其の理由を明細に御説明されたし。

一〇、上告人松岡夘三郎対久門恵美明治十二年七月二八日生当年九十二才の老婆松岡家の家事使用人として永年奉公したる全々他人の所有物件を松岡の第二納税義務者と称して差押へするは違法行為も程々にされたし。

久門老婆が松岡より家屋敷を贈与を受けてから久門は第二次納税義務者であると云ふが贈与した理由は今日迄に再三再四国税局に対し報告してあるを無視し久門老婆の住友銀行京都四条支店に定期預金した七四四、八二〇円を暴力的に差押へして持ち帰つた事は許せない京都市中京区麩屋町丸太町下ル市井栄作弁護士が事件を松岡が依頼した事の報酬請求の為め現在山科安来馬場東ノ町四五松岡夘三郎当時の家屋敷を差押した然るに国税局は久門恵美老婆の所有権に移つた以後差押したものである市井弁護士は松岡名義である時に差押へた是は出来るが何の関係もない他人の久門の財産を如何に税務所と唯も差押は出来ない是を良しとする大阪地裁井上三郎裁判官もどうかして居る国税局は井上三郎裁判長がなしたる判決を楯に取つて兎哉角云ふが井上裁判官は片手落ちの違法極まる判決を云い渡したもので只何も云々調べず被告国税局側を贔負したもので法律上許せないので特に原告松岡は井上裁判長に対し抗議文を出してある井上裁判長の判決は正しい判決ではない事は京都弁護士会でも噂となつて居る神ならぬ人間のなす事であるから過ちはある過は速かに改める必要ありと信ず井上裁判官は公正を欠いて居らしやるので庶民は困る裁判所たるものは公正主義を尊重して頂きたいものである。

一一、国税局の係り員及局長の更迭が甚だしいので係り官が変る度に云ふ事が異なり閉口す。

(1) 最終納付催告書四三年七月二三日付三九年度分とあるは三五年七月二十九日日本セメント株式会社に対し前記山林を売却し八五〇万円受領したに対す税金であると推察するが右八五〇万円に対し八、八五二、八〇八円支払つたので三五二、八〇八円支出超過したので徴収令を取り消し願います。

(2) 収支差引五二六、一五二円也の利益となつたので此の利益に対する税額に訂正下さる事。

(3) 本税金に無関係の久門老婆の住友銀行京都四条支店に定期預金として預けし七四四、八二〇円也を違法徴収されし金額を返還する事。

(4) 本税金に無関係人久門老婆の家屋の差押を速かに解除する事右(4)件を速かに実施願います。

悪弁護士市井栄作に習い差押へしたが市井は家屋が上告人松岡の所有権にありし時に差押へしたのであるが国税局は右不動産が久門に所有権が移つた後差押へた事は違法であるから速かに解除さるべきである。

右の次第であるから公正なる判決を求む。 以上

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